《そっか…
  私の所為だよね、ごめん》



「…テニスは絶対辞めんから。

 部活は辞めても、テニスは辞めん」



何も、失わずに守ることができたなら
彼女は泣かずに済むのだろう





          
不器用な人の不器用な生き方。







《あ、じゃぁ…私と一緒にテニスやらない?》



「バカ。お前には部活があるじゃろ」



《行きたくない》






 今は辛くても、我慢せぇ。

 今は大切な時期なんじゃなから、休んだら大変なことになる」



《…》



辛いやろうけれど


行って、言わなあかんのじゃ

言って、、信じてもらわないけんのじゃ



「じゃぁ、の」



「…待って、
仁王!」



やけに声が近くなったと思ったら



…?」



部屋にあがっていた。



「あははー…」



目が泳いでる

絶対、窓から入ってきよったの



「……ちゃんと玄関通ってきたかの?」



「うふふ。気にしないで」



「…いつもあれほど言っとるじゃろう。

 ちゃんと玄関から入って来いって」



「…だって、近いもん」



隣ゆえに窓と窓が向き合った状態じゃけれど

どっちも2階だ


落ちたらどうなる?

それに、こいつは雨の日でも嵐の日でも構わずに入ってこようとする


こっちは、気が気でないというのに。


ふと、巴が腕を押さえているのが視界に入った



「痛い?」



「え?…」



「その腕、痛いんか?」



「……。
大丈夫だよ」



さよか。

 もう寝たほうがええんとちゃう?

 夜更かしは明日がキツいからの」



「…うん、じゃぁオヤスミ」






















「仁王っ!」



「…なんじゃぁ」



寝ぼけまなこのオレの腕を引っ張って

今すぐ学校へ行きたがっている


コイツ、また窓から入りよったな



「行こっ」



「まぁた窓から入ったじゃろうぅ」



えへへ。

 それよりも、学校行こうよ!みんなが待ってる」



「は…?」



こいつ、忘れたんか?

自分がどれだけヒドイ目にあったのか。


否、その疑惑はすぐに晴れた

目の下のクマと

真っ赤になった目

そして腫れ上がった瞼


安い願望を抱いている、とすぐさまに分かってしまった


もしかしたら今日は違うかもしれない、昨日とは違うんだ。という安い願いを



「寝すぎー」



行きとうなか。

 つまらん学校なんか、行きとうなか」



「…どうして?どうして仁王がそんなこと言うの」



「…」



仁王は何も辛いことなんかないじゃないっ

 靴箱ドロドロにされたり、机に落書きされているのは仁王じゃなくて私なのにッ!」



…」



「どうして?我慢できないのは、私の方なのに

 なんで仁王は行かないの?

 全部、全部私のせいなんだ」



!」



「仁王なんか大嫌い!

 もうほっといて、構わないで!」



それからはオレを避けるようになった










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