シトシトシト
振り続けていた雨が
ザー
豪雨へと変わった
それは、記録的な大雨。
仲良さげに手をつなぎ
同じ傘の中に入って帰路を行くあの人と先パイ
先程まで小降りだったので、濡れながらオレも帰っていた
傘を忘れたから
雨が制服に馴染み、冷たさも心地よさに変化したところで
小降りは大雨へと
片思いは失恋へと
変わった
「…れ?日吉?
どうしたの、そんなビショ濡れで」
「…なんでもありません」
「風邪引くで、日吉」
「ひいたとしても、貴方達には関係ありませんから」
お願いだから
俺の前から消えてくれ
「駄目だって、ホラ私折りたたみもってるから貸したげる!
侑士クンの傘にはいってかえるし」
「いりません」
「だーめ!!強制。
先パイ命令!!」
無理やりもたされた傘
どうしようもできなくて
一方的に思いを寄せていた先パイがみえなくなってから
道端に捨てた
どんなに世界に雨が降っていようと
オレの心は前から土砂降りだ
ずっとずっと長い間、しょうしょうと雨が降っていた
大雨が来るとわかっていたのに傘をささなかったのは、傘をさしてしまうと貴女が見えなくなるから
濡れてもいい、風邪を引いてもいい
ただ貴女を見たかった
何でオレを見てくれなかった
その瞳で、あの人しか見なかった?
貴女のそばにいたのは俺だ
貴女がなきたいとき、側に居て慰めたのは紛れも無くこのオレだというのに
雨はふるシトシトと
やがて小降りは大雨へ
やがて片思いは失恋へ
オレは傘をささなかった
傘をさして行ってしまう、貴女を最後まで見送るために
「日吉、またね」
「…」
貴女の傘がオレであればよかった