誰かに愛して欲しかった


誰かを愛していたかった


じゃないと、自分がこの 
世界 に押しつぶされそうで

透き通るくらい青い空に 飲み込まれてしまいそうで


こわかった





そんなこと言っているけれど…


私は

愛され方も、愛し方も解らない




とにかく、消えることが怖かった




手当たり次第に誰かにラブレターを送った



そして、いつしか私は 軽い女 と呼ばれるようになった





誰も私に近づかない

友人と言ってたコも、 軽い女 と呼ばれるようになってから近づかない





ただ、私は愛を求めただけなのに…









放課後の夕日が差す廊下を歩いていた頃



頬にフワリと黒い髪が触れた





数秒の沈黙のあと、私は 誰か に抱きしめられているのだと気づく





「…オレは、ずっとお前のこと見てるから…」





低いトーンで、誰だか一瞬にして解った





私が、まだ一度もラブレターを出していない相手


忍足 侑士だ



「…なに」




「誰かに愛して欲しいとか、愛したいからって…


 適当にラブレター送らんといて…」



「…わ、たしの勝手…でしょ」



「じゃぁ、なんで?



 なんでオレには一度も来ぉへんの?

 ずっと待っとったのに
 オレは、お前のこと愛してんのに」




「いみ、わかんない…」



「オレにも、のラブレターチョウダイ」




「あげ、ないよ…


 忍足くんには、あげない」



「なんでや…?」






「忍足くんにだけは、ラブレターを冗談だって思って欲しくない」







ああ、またが当てずっぽうに送ってる


なんて思ってほしくない






「なんで」



「だって…だって…わかんない!」



「オレのこと、好きやから?

 本気でオレのこと愛してるから?」



「そんな、こといわれたって……わかんないよ!!」








「オレにも、ラブレター頂戴


 絶対に、それが冗談やとか思わへんから

 本気って受け止めるから」









「イヤ…」



「……


 言うけどなぁ、テニスコートからの姿見えたから

 オレ全力疾走して来てんで? 汗ビショビショや
 キッツイ練習の後で疲れてんのに…」



「ラブレターはあげない」









「『は』?」




「冗談だって思われたくないのは、忍足くんの解釈で考えてくれていいよ


 そうだって、思うから」



「…え、と

 じゃぁ…?」




聞かれても、わかんないよ



自信なんてないよ









ただ、私の顔が熱いのは


真っ赤な夕日のせいだってことは確か










「ずっと、オレのこと好きでいて


 オレも、ずっとのこと愛するから」













誰かに愛して欲しかった

誰かを愛していたかった














誰か、が誰でもいいなんてワケじゃなかった



誰かに愛して欲しかったんじゃなくて


ただ1人に愛して欲しかった









 
Love Letter