本当にキミを愛していいのかな…



キミは、本当にキミなのかな



じゃぁ、オレは誰?オレはオレじゃないのか?…分からないよ

だって、オレはオレだと思って…記憶を頼りに生きてきたから



オレが本物かなんて、オレ自身にも分からない

もちろん、キミがキミかなんて誰も知らない






クローン
 
―もう1人の僕―





その国は、とても小さな国だった

だけど、クローン技術が発達しており、人間とクローンが共生していた



誰がクローンなのか、誰が人間なのか…それは、王も貴族も民衆も知らぬことで




あまりにも区別が付かない世界は、それはそれで成り立っていた



誰も、クローンと人間の差を必要とはしない







自分が、死ねば自分そっくりのクローンが作られる

もちろん自我もあれば、個性だってあり


それまでの記憶ですら、しっかりと記録として残る



それからの出来事は全て脳といわれる場所に入れられるし

別にそれで誰かが苦しむわけでも、悲しむわけでもなかった




逆に、死んだはずの愛しい人がまた生き返る…ということで、好評であった






国の名前は…クローン…そのものだった



街は活気にあふれ、人々は笑い、財政も豊かであり、平和だった






…」



「なに?」



「好きだ」





「なに、いきなり…


 普段は言わないくせにー!」





「好きだ。もう、離さない




 お前はオレだけのもので、オレはお前だけのものだ…」



「赤…也?」




「お願いだから、忘れんなよ…オレのこと



 オレがお前を愛して、お前がオレを愛してること」







「もー、どうしたの?



 私はそんなにすぐには死なないよ。離れない…赤也を置いて行きはしないよ」




「…夢を見た」






「夢?」







彼は、とても低い声で小さく呟いた


何とかしてその言葉を聞き取れば…生きているのが怖くなった




「ああ、何の証拠も現実味もない夢だ



 だけど、夢の中で…お前が、消えるんだ…クローンになってオレのところへ帰ってきて

 意味も分からずにへらって笑って、赤也って名前で呼ぶんだ



 どこからどうみても、なのにな…クローンって分かっているだけで愛するのが怖くなった…」









「…あはは、そんなの現実にあるわけないでしょ?



 今まで病気知らず!事故にまきこまれたことも一度もない私が?冗談だけにしといてよ」





「そーだよな、考えすぎだよな…」





「うん。じゃぁ、赤也ばいばい」



「おー、また明日学校でな」









大丈夫だよ、私は絶対に死なないよ


だって…絶対に死んじゃいけないんだ











その時、クラクションの大きな音が鳴り響いた





「キャー!!」


悲鳴が聞こえる、どうかしたのかな…なんて思うのも束の間、気が付けば私は足下に血だらけの私が倒れていた









ああ、私…死んだんだ


そんなに、必死に頑張らなくていいよ…もう助からないから




どうせ、クローンを作ってみんなの中では私が生きていることになるんだから



不思議だよね、変だよね


本当の私は死んでいるのに…生きているんだもん





あーあ。クローンなんて世界からなくなっちゃえばいいのに


































「おーっす、!」



「おはよ、赤也」







オレは、違和感を感じた



なのに、じゃない感じ






「あ、ねぇ…知ってる?


 ちゃん、昨日突然交通事故に遭って死んじゃったんだって…」



「え…、じゃぁ今あそこで切原くんと居るのは、クローンのちゃん?」



「全然分からないよね…」














「おいっ、その話…よく聞かせろ!」



「き、切原くんっ!」




が死んだって、嘘だよな!?」




「嘘じゃないよ…私、見たんだもん



 歩道にいきなりトラックが突っ込んで…それで…」






「クローンになっちまったってワケか…」





「うん…」




夢が現実になるなんて。本当のとの会話があれで最後になるなんて…





世界なんて、壊れてしまえばいいのに

が居ない…世界なんて…いらないのに





どうして、クローンが居るんだよ

クローンはクローンでじゃないだろ





本当のを返せよ







「クローンは、本当のじゃねぇだろ!?」








が死んだ翌日、オレは後を追うように自害した




すぐにオレのクローンがつくられ


今でもオレとはクローンとして、生き続けている









こんなに悲しい世界なら、オレは生まれたくは無かった