こんな関係でもいいから、ただあなたの側に居たかった



       今日も緋色の風が吹く






「若くん」



「なんだ?




「一緒にお弁当食べよ」


「悪いが、今日は委員会があるから」




「そ…じゃぁ、いいや」



委員会なんてただの嘘のくせに。
私と一緒にご飯を食べる約束があるだけのくせに
彼女の誘いを断るなんて


バカじゃない?


私は、日吉の浮気相手というもので
本当の彼女ではない、みんなの前で堂々と彼女と名乗れない


それでもよかった

日吉が私を必要としてくれるのなら、それで。




「待たせたな」


「全然。それより、いいの?折角の彼女の誘い、断って。浮気して」




「お前を誘ったのはオレだろ。なら、オレが断ったら駄目だろーが」




「そうだね」






沈黙の食事。何のために行われるのだろう
私は彼の何なのだろう。彼にとって私という存在はどういうものなんだろう



考えても答えは出ない
全ては彼の中に隠されているから。

日吉は笑わない。泣かない、怒らない
表情を他人の前で見せることはない。私の前で無表情以外見たこと無い








「もう終わりにしないかな」



「何をだ?」





「こういう関係。私疲れた。」



「…」







「日吉はさんのことが好きなんだよ、きっと。
 だからさんにヤキモチ妬かせようとして、浮気してるんだ

 でも考えてみて?私の立場を。
 別に日吉のことを好きでもないのにアンタの遊びに付き合わされてどういう気持ちかわかる?」



嘘だよ。好きだよすっごく
遊びに付き合わされてるんじゃなくて、私にとっては本気の恋なの




「…なら、終わりだ。

 もうお前とは金輪際関わらない。」




「うん。じゃぁ永遠にばいばい」






「ああ」






行かないでよ。離れないでよ。私を1人にしないで


私はいつだってアンタを見てきた


日吉が試合に負けた時の背中も
彼女に対する笑顔も
何が悲しいのか分からないで流した涙も
テニスをする腕も


全部、知ってるんだ。
どれほどの悔しさや悲しみとか、嬉しさや喜びを抱えて今アンタがどこに立っているのかも


分からないのは、日吉の気持ちだけ
誰を好きなの?何故私を選んだの?彼女のことはどうしようとしているの?






でも、別にいいや永遠に分からなくても。
日吉が幸せならそれでいい、日吉が選んだ道なら私は何も言わない
ただそれが、誰かに強制させられてだったり、日吉が不幸せなら私は邪魔をする





「…行かない、でっ……ぅ、ふッ」






「行けと言ったのはだろうが」


扉に手を掛けたまま止まって、日吉は振り返りもせずに言ってきた



「1人にしないで…側に、いてっ!」




「…ったく我が侭」







「でも、日吉が私と別れることで…さんと一緒に、なることで幸せになるんだったら…」




「バカだ。お前はバカだ」



「ふ、ぇッ…」






「オレの幸せはいつだってお前の隣だったんだ

        の横でもなく、お前自信だったんだ…
 だからオレはお前と浮気という形でつきあい始めた

    を手放すのが怖かった頃に…」





「うぁっ…」




「でも、今なら平気そうだ
 を手放しても…大丈夫

        お前がいるから」







「行かないで…」







「行かない。お前の側にいたい」











「1人に… 「絶対に1人にしねぇ… 、好きだ。とは別れる。だからオレの彼女になってくれ」






「うん、うん。私を日吉の彼女にしてください」







1人にしないで、行かないで、私を置いてかないで



ずっと側にいて、私の隣で…笑って

おねがいだから







ずっとずっと隣で泣いて下さい



















なんてヒロインだ!!